お鈴のとりあえず毎日

マレーシア人の嫁とホーチミンで暮らすお話。

第八話 稀勢の里と夏場所

昔、居酒屋で店長をしていた時、カワイイ高校生バイトに「店長は彼女とかいるんですか?」的なことを聞かれて、ヤバイ!これは告白されるってドキドキしながら「いないよ」と返答すると、「なんか うけますね!」ってとんでもない直球がかえってきて、見逃しの三振になったことを思い出した。ニヤニヤしながら「いないよ。」と答えた時の、俺の感情を返せ。


そんな店長時代に「私はチョウセイです。今お祭りにいます。」って遅刻の連絡をしてきた中国からの留学生チョウさんが、「店長お土産です」ってりんご飴を買って来てくれたので、2時間の遅刻に目をつぶった判断は、今だに間違えじゃなかったと思っている。
 
さてさて、今日Yahooニュースを見ていると、稀勢の里夏場所に出場を決めた事が書いてあって、嫁が来週ホーチミンに帰ってくることを思い出した。もちろん息子も一緒だ。毎日テレビ電話で息子を観察しているのだが、「パパ」と「バイバイ」の区別がついてない様で、テレビ電話がつながるとすぐに、「バイバイ」と電話を切ろうとする辺りは、将来有望である。ちなみに、僕は「お父さん」と呼んでもらいたいので、毎日のように「お父さん、お父さん」とすり込んでいたのだが、返答はいつも「まんま」であった。手前味噌を売りつける親バカで申し訳ない。
 
全ての日々は、思い出に繋がっている。

第七話 フライトマップ

もし僕がアンパンマンで、お腹がすいている人がいたら自分の頭の一部をあげるだろうか?としみじみ考えた結果、きっとあげると思うが、おかわりの要求が来た場合、 「よく食べるね」と一言イヤミを言ってしまうと思う。

 
さて、だいぶ時間が流れてしまったが、先日 日本に一時帰国していた時の話をまとめておく。
僕の希望は年に二回くらいは日本に帰りたいと思っている。ただ、ポケットのありがとう との相談が必要であるため、年一回ほどのペースにとどまっている。ポケットのありがとうもビスケットの様に叩けば増えていけばいいのにと、せつに思う日々を暮らしている。しかし、質量保存の法則からは逃れる事はできず、やはりビスケットも1枚が2枚になるのではなく、割れて0・5枚が2つになっていると事に思考が届き、現実とは優しさのかたまりであるとわかった。
日本では東京と地元の2カ所で優しさに触れた。東京では夢を追って頑張っている友人とお酒を飲んだ。彼は歌う仕事を選び、その業界では有名になっていた。地元の焼肉屋で共に働いていた頃から目標にしていたので、「諦めなかった奴が掴むのさ」ブルーハーブの言葉が無限に心の中でループした。
 
その後、地元に帰りやいのやいのしていたら、すぐにホーチミンに戻る日を迎えてしまった。いつもは1人で寂しくホーチミンに帰るのだが、今回はパパさんと帰ることになっていた。パパさん曰く、心の中で半分くらい海外に行きたくないと思っているから、今回無理やり海外に行かないと一生いかないと思った。。とのことだった。
始めての海外旅行だというのに、バックなどは持たず、ポケットにパスポートを入れ、下駄をはいている姿を当日の朝 玄関で発見した。いろいろな疑問を持ったが、そこには彼の美学があると思い、多くはきかなかった。空港まではバスで2時間かかる。高速のサービスエリアで休憩にバスを降りると、飛行機の中で食べると、おつまみの昆布を買って来ていた。その昆布も空港に着く頃には全てを食べつくしていた。 「機内食が出るから」と悲しげにしているパパさんに声をかけ飛行機に乗り込んだ。
飛行機の中で、行きたい場所や食べたい物などのヒヤリングをするも、「特にない」との返答だった。5時間のフライトは長い。座席のテレビの使い方を説明すると、「今、どこを飛んでいるか知りたい」とのことだったので、世界地図の画面に切り替えた。マップ上に飛行機のアイコンがありどこを飛んでいるかわかる、あの退屈な画面である。そのマップから一度も画面を変えることなく、5時間のフライトを楽しんだ人を僕は始めて隣で見つけた。到着後「これで、静岡の家から見える飛行機がどこに向かってるかだいたいわかるな」と小さい声でパパさんは呟いていた。いろいろな意見はあると思うが、想像力が豊かな父を持って幸せである。
 
その後ホーチミンでもいろいろと起こるのだが、それはまた別のお話。
 
産まれながら天運、我にあり。

第六話 パンチパーマと私

絶滅せずに個体群を維持できる人類の最小単位は、オス15個体、メス50個体ぐらいだと書いてあった。EXILEAKB48がいれば大丈夫なので、僕は僕で人生を楽しもうと改めて思ったホーチミンから今日もお届けする。

さて、モテ期は人生で3回あると教わった僕ではあるが、今だに初回すらきていない。もっとバランス良く3回をちりばめてほしいものである。贅沢を言わせてもらえるのであれば、高校2年生くらいにモテ期一回目が来て欲しかった。そこから10年置きくらいに2回あればなお良しである。ただ、まだ3回も残っていると考えるとニヤニヤが止まらない。モテ期というカードを三枚も保有していると心にも余裕が出るので不思議だ。

そんなモテ期を今か今かと待ちわびていた時のお話を少し。

時は僕がイケイケブンブン丸時代の話だ。ちなみに、僕の中学校の時のあだ名は「とりバード」である。勘が鋭い方ならもうお分かりだろう。軽いイジメにあっていたことは、今ではいい思い出だ。
そんな札付きの悪に憧れていた僕は、パンチパーマにしようと思いたった。この髪型なら確実にイケイケブンブン丸なれると信じ切っていた僕ではあったが、やはり、髪型の問題ではなく根性の問題だということに気づくのに、そう時間はかからなかった。
隣町で仕事帰りに友人と飲んだ帰り道、きっかけは忘れたがパンチ鈴木よりも明らかにイケイケブンブン丸な人達に絡まれてしまった。彼らはしきりに「もさくれるぞ」と声を荒げていた。僕はその「もさくれる」の意味が全くわからなかったが、心の中で「是非、もさくれないで頂きたい」と願っていた。一緒に飲んでいた友人の勝又くんは、きっと酔っていたのだと思うが、ブンブン丸な彼らに、「なんか問題があったら御殿場の勝又に言ってこい。」と、こちらも意味不明な返答を繰り返していた。その後は警察などが来て、逃げる様に解散となったが、今だに「もさくれる」の意味はわからずにいる。

あーぁ、おちんちんが2本あったらいいのになぁー。

第五話 筋肉は友達

先日久しぶりに、嫁と意見が一致したので、喜びをここに書いておく。我が家の体重計は人が乗る位置によって4kgほど数値が変化するレトロで特殊なつくりになっているのだが、僕も嫁も中心は避けて、一番手前の位置に乗って測っていた。そのポジションこそが正確に測れる事は、火を見るよりも明らか。さすが我が嫁だ。

さて、今日はアホの様に筋肉を鍛えている友人のお話だ。
アイスクリーム屋さんで働く地元の友人は、アホほど筋肉を鍛えている。当時、上腕二頭筋でつまようじを挟んで僕に見せてくれた。彼があのペースのまま鍛えているのであれば、そろそろ小さいカメハメ波くらいは打てるので、今後は距離をとって戦う必要がある。
そしてもう一人、魚が美味しい港町でモヤシの様だった友人も、先日久しぶりにあってみると、筋肉質なモヤシになっていた。細マッチョとでもいうのか。彼は「大会があるので、味付けは胡椒とレモンです」とハラミステーキをほうばっていた。もし、僕にアイスクリーム屋の筋肉があったら至近距離でカメハメ波を叩き込んでいた。そんな僕の高ぶった感情を知る由もない筋肉モヤシは、「塩もとりません。最後はパキパキに仕上げていきます。」と続けていた。これ以上はなしが続くと、チャクラを制御している門が開き、裏蓮華に入ってしまいそうなので、適当に切り上げた。


越える相手は世界にいる。

第四話 横綱との別れ

死ぬまでに絶対に言いたい言葉は「このままでは人工心肺から離脱できない」なのだが、先日この事を友人に話したら、「腕の良い麻酔医が必要だね」と綺麗なリターンが帰って来て、アワアワしてしまった。綺麗な逆サイドへのボールは、右足が左足のふくらはぎに当たって転んだ、あの時の中体連一回戦を思い出させるには十分なリターンだった。

我が家のストライカーでもある嫁が、今週マレーシアに帰る。息子の注射の関係だ。もちろんここホーチミンでも注射は可能であるが、そこには夫婦の思惑が裏側に影をひそめ、あたかも大義名分があるかの様に事が運ぶ。察するに、僕が深夜まで仕事をしているので、一人で一歳児と長時間戦うのは骨が折れるのだと思う。実家に戻れば、お爺ちゃんとお婆ちゃんの最強のカードを発動できる条件がそろうので、やはり居心地がいいのだろう。かくいう僕も、ストライカーが家を闊歩している時には隠している背中の羽をこれでもかと広げ、ホーチミンを飛び回ることができるのである。
ただ、ここはてなブログもどうやら、すでに嫁の監視下に入ってしまった様なので、やたらな事は書けない。先日も家で嫁を呼ぶ時に「横綱」と連呼していたら、Google先輩でYOKOZUNAと検索し始めて慌てて出勤した経験が、僕に危険を教えてくれているのである。しかしながら、最強の旦那を目指す僕がこの程度の圧迫に屈するはずがあろうか。声を大にしてここに書こう。 あぁーさみしいなぁ。

言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズン!

第三話 マヨネーズのレビュー

先日LINEのタイムラインにはかかせて頂いたが、昨日 そのLINEを見たという先輩から温かいお言葉を頂戴したので、ここに書いておく。

まずはタイムラインのおさらいから。

今朝、息子が床に落ちてしまったマヨネーズのボトルを踏みつけて、盛大にタイル張りの床をスリップリーな状態にしてくれたので、清々しい一日をスタートすることができた。ありがとう。
マヨネーズには、いい思いでばかりである。
友人の誕生日会に参加した時のことだ。会も後半になり、みんなおお酔っ払いだった。すると、この街の先輩 、通称ゴリラが理解できない事をいい始めた。「俺が髪セットしてやるよ」と。当時はロナウドカットにしていたので、セットしていないと鳥の巣が頭に乗っているような髪型だった。たまたまその日もボサボサの髪で飲んでいたので、そのことを言っているのだと、直ぐに想像できた。
すると、お好み焼きにかけるためにと店員さんが置いていってくれたマヨネーズを、手のひらに勢いよく出した。それはまるで、体操選手が滑り止めの粉を両手に馴染ませるように。
通常では、僕の承諾の のちに、マヨネーズを手にだしセットする流れではあるが、これに上下関係を加味すると、マヨネーズを手にだし、ニヤニヤしながらセットする、という流れに変わるようだ。後輩である僕の意思などという物は、道ばたの石ころ程度の儚さしかない。
ゴリラは一通り遊んだあとトイレいき、手をあらっている。もし僕が名のある武士なら切りかかっていただろう。

使って見てのレビューですが、値段、髪への馴染み、粘着性は申し分ない。ワックスの様に何度も形を変えらるのも魅力の一つだと思う。ただ、独特の酸っぱい匂いと、翌日の痒みが気になるので、星1つとさせて頂きます。

 

これを見た先輩が、「お前、書くことに困ったらいつでも来いよ」と、二の腕をつねり上げながら優しいお言葉くれた。

強い者と闘う時は、ただただひたすら自分を信じればいい。

第二話 小さなテント

昔、居酒屋で店長をしていた時、カワイイ高校生バイトに「店長は彼女とかいるんですか?」的なことを聞かれて、ヤバイ!これは告白されるってドキドキしながら「いないよ」と返答すると、「なんか うけますね!」ってとんでもない直球がかえってきて、見逃しの三振になったことを思い出した。ニヤニヤしながら「いないよ。」と答えた時の、俺の感情を返せ。

さて、こんな僕も髪が長い時期があった。触るものみな傷つけていた時代だ。 小さい頃から通っていた床屋さんには何も告げることなく、街ではやっていた美容院に浮気をした。
始めての美容院は緊張した。綺麗なお姉さんはいっぱいいるし、そこは顔がビシャビシャになるシャンプー台など もない。前向きではなく、後ろ向きでシャンプーを受けれる。まだ、ミニーに出会っていなかった僕には衝撃の連続だった。シャンプーの時にミニーレーダーが反応して、小さなテントを張ってしまわぬように、平常心を心がけた。
「痒いところありますか?」優しい声が耳に届いた。平常心が大きく揺さぶられた。ただ、謎のガーゼが顔面にちょこんと乗っていたので、僕の動揺を見透かされずにすんだ。
「鬼のツノがはえてる部分が痒いです。」これが僕の精一杯の返答だった。
「はい。」 冷たく さめた声だった。
2度も謎のガーゼに救われるとは、考えもしなかった。

全ての日々はいい思い出につながっている。