お鈴のとりあえず毎日

マレーシア人の嫁とホーチミンで暮らすお話。

第17話 手に職を

かなり前にボイスパーカッションが流行っていたので僕もやってみたが、友人に「何?暴走族のまね?」と質問されていらい、もう2度とやらないと心に誓った。


最近の息子は車のおもちゃに大ハマり中なのだが、そのラインナップがダンプカーやショベルカー、フォークリフトなどほぼ重機で構成されている。なぜそれを嫁は買い与えているのかは不明だが、どれも資格がなければ運転できない物なので、手に職をつけるというすり込みでも始めたのかと理解している。
息子はそんな重機たちと寝る間際まで遊んで、握りしめて眠りにつく日々なのだが、毎日おもちゃ箱からその日に遊ぶ重機をチョイスしてベットに持ち込んでいる。それはまるで、将軍様が今宵の相手を選ぶさまににているので、おもちゃ箱を大奥と呼ぶことにした。嫁が適当にアンパンマンのシールを貼ったダンプカーが、週三日くらい息子の相手をしているので、正室といったところだろう。


今日はもつ鍋を美味しく食べる、おすず流9カ条をご紹介する。
1、お腹がすいてる時に食べる。
2、まずはスープを味わう。
3、モツ1に対してキャベツ2、ニラ1のバランスでほうばる。
4、豆腐はふーふーせず、上あごを攻撃。上あごぺらーんは高得点!
5、ハイボールをがぶ飲みでクールダウン。おかわりを忘れずにオーダー。
6、柚子胡椒、七味で味に優しさをトッピング。
7、〆にラーメンか雑炊をオーダー。食材からでた旨味とともに食す。
8、Facebookなどでこのもつ鍋を投稿、拡散させる。
9、以上の事を気にせず、好きに食べる。
この9カ条を守って是非美味しいもつ鍋を食べて頂きたい。

TOKONAがかかればゲンコツを交差。

 

 

第16話 ポケベルがならなくて

先日、日本に帰国していた。嫁は日本の化粧品を完全に信用していて、それらを買い足すのをいつも楽しみにしているようなのだが、1つ8000円もする物を2つも購入しようとしているので、さすがに高くないかい?とたずねると、携帯でAmazonの画面開き、先日買った息子のお弁当箱の画面を僕に見せてきた。わけが分からず言われるがまま画面を下にスクロールしていくと、“この商品を買った人はこんな商品も買っています”のページに、嫁が買おうとしている化粧品があった。これを僕に見せて何を伝えたいか分からないが、嫁は曇りなきまなこで僕を見て大きく頷いていた。
少し頭を整理して考えたみたが、たくさんの頭のいい大人が一生懸命考えて作ったAmazonのページだから、嫁がそれに誘導されても仕方がないと自分を落ち着かせた。


先日、友人とコーヒーを飲んで昔話をしていたときに、ポケベルや黒電話の話になった。当時の歌で「ポケベルがならなくて」や「ダイアル回して」などはもう若者には意味が通じないじゃないかと疑問に思った。きっとこれからは、「LINEが未読で震えてる」や「お願い、既読スルーはやめて」などが今後歌詞に登場してくると思う。

 

足るを知る。

第15話 風のたより

 

最近、うんこが出そうでお腹が痛い時をカッコつけて「別れの季節」と呼んでいる。これは食べ物から栄養をいただき、排泄する事を「別れ」という言葉に置き換え、また新たなる日々を過ごして行くさまを「季節」として表現した徳の高い言葉だと自負している。使い方としては、「あーやばい別れの季節だ」や、「昨日さー電車で別れの季節になっちゃって大変だったよ。」などのようにつかう。ちなみにオナラは「風のたより」と呼んでいる。高度な技術ではあるが、合わせて使うと「別れの季節が訪れ、トイレに座り別れの時を待っていると、風のたよりだけが通り過ぎた。それはまるで我々の別れを惜しむように。」となる。


おしゃぶりをこよなく愛す もうすぐ2歳になる息子は、俗に言うイヤイヤ期に突入したようで、気に入らない事があると大声を出したりテーブルを叩いたりして自分の気持ちを表現している。ひどい時はあれだけ愛していたおしゃぶりも投げつけたりする。この、物を投げる行為は危険だからしっかり注意してと嫁に念を押されていたので、これは父としてしっかり注意しようと思うも、数年前にスタッフに玉ねぎを投げた記憶が蘇り、「気持ちはわかるよ」と全く威厳のない注意をしてしまった。その一部始終を、料理を作りながら見ていた嫁は、まな板に向かって首を横に振っていた。


ひとりで生きていけるふたりが、それでも一緒にいるのが夫婦だと思う。
TIFFANY & Co.

第14話 歌うたいのバラッド

先日、お客さんと話している時に「なんのお仕事されてるんですか?」と聞くと「僕の仕事は歌うたいです。」と答えられ、カッコイイなーと思ったので、慌てて僕も負けじと「僕の仕事はモツ洗いです。」と訳のわからない事を言ってしまった。話し始めて1分で下っぱ感をアピールして後悔している。

 

 

特にこれといって趣味などはない平々凡々の僕がかろうじて趣味と呼べそうなものは、クシャミを誘発して楽しむ事くらいだと思う。こより、つまりはテッシュをねじって尖らせたものを鼻にさしコチョコチョしているのだが、今日の朝もその趣味を楽しんでいると、息子は不思議そうに僕を観察していた。すでに技術的にはゴットフィンガーの域にいる僕は10秒ほどでクシャミをする事ができ、それを見た息子はかつてないほどに喜びゲラゲラと笑っていた。それに気を良くした僕は2年分くらいクシャミを息子に差し上げた。時間にして10分くらいの話だが、あまりに喜んでいる息子の笑い声を聞きつけ、キッチンで洗い物をしている嫁も様子を見に来た。この素晴らしい趣味を息子にも味わって頂きたいというホスピタリティから、僕がこよりで息子の鼻をコチョコチョしてあげている時に嫁が登場というタイミングだった。親子の暖かい遊びを見るや、誘拐されそうな我が子を守る母のような勢いで、僕から息子を引きはがし、部屋へと去っていた。
なぜそんなに怒ったのかわからない。ただ、まだ2歳にならない子供に大人の遊びを教えた事に怒っているのだと自ら結論付け、出社したのであります。


うんこも元気も出るもんじゃない。出すもんだ!

第13話 麻雀と将棋

基本的には毎週髪の毛の手入れをしている。坊主というスタイルはなかなかにめんどくさいのだ。自分で髪を切っているのだが、安いバリカンしか買ったことがなく、その耐久年数は1年という結論は20代前半には出していた。特にバリカンに愛情を持っている訳ではないが、現在の物は8代目バリカンだと記憶している。つまり、3代目 J SOUL BROTHERSなど、とうの昔に置き去りにしているのである。
そんな8代目 毛ー剃ーるブラザーズのバリカンで、いつのも様に髪の手入れをしようとすると、だいぶ俊敏さが失われている事に気づいた。買ったばかりの頃はウサインボルトの様にスムーズに回転していた刃が、今では地区の運動会で走るお父さんの様な回転しかしていない。こんな時は油をさす事で対応してきたが、前回 油がなくなってしまい緊急対応としてゴマ油をさして使ったことが今日になって響いてしまっていた。前回のこうばしい香りはなく、ベタつきだけが刃と刃の間を占拠した。

 


少し前からここホーチミンでも麻雀をしている。一ヶ月に1 、2回程度の頻度で楽しんでいるのだが、先週くらいに立て続けに麻雀をやる事になってしまった。仕事が終わってからの麻雀なのでスタートが深夜になり帰宅は朝になる。毎回、麻雀の前には嫁にメールを入れるのだが、週に3回ともなると流石にピリピリした空気を感じずにはいられない。ここで大切なのは、返信メールから怒りメーターが今どこを指しているのか敏感に感じる危機管理能力である。先週のやりとりはこれだ。
基本的僕は「今日、麻雀します」とだけ送っている。
初日は「K」との返信だ。 これはOKの略である。一文字の返信で温かさはほぼ0ではあるが、okをもらっているので、ここはまだ突き進んでよし。
2日目は「surprise」との返信だった。 これを「わぉ ビックリ」などという感覚で捉えていたら即刻ゲームオーバーになる。これは「昨日の「K」の意味をわかってねーのか?あぁ?連続で麻雀?夜道は気をつけろ」という解釈になる。ただここはあえて「ビックリさせちゃった。テヘペロ」ぐらいの気持ちで現実逃避すれば問題ない。まだ突き進める。
そして3日目は「enjoy your life」との返信。将棋では、この様な状態を「詰み」と言ったりする。

 

 

強い者と闘う時は、ただただ自分を信じればいい。

 

第12話 黄色の紙パック

最近、お酒の席でよく話題になるゆとり世代について、思いを馳せてみたい。ゆとり世代の定義はわからないが、僕の中では土曜日が休みになった頃からだと思っているので、まさに僕はその代表だと自負している。このゆとり世代世の特徴としては、リプトンの500mlパックのレモンティーを定期的に飲んでいないと生きていけない病に感染している事がよくあり、男性に限るがエースコック豚キムチを異常に好む特徴もあるとされている。また、女の子はプリクラ帳という謎の手帳も保有していた。ゆとり世代としてこれからも頑張っていこうと思う。

 

さて、カレーは飲み物という言葉をFacebookでたびたび見ていて、頭の片隅に残っていたのだが、嫁が小さいシュークリームを3つほど吸い込むように食べるのを見て、シュークリームは空気。と思うも、難易度が高く、英語で伝えられなかった事が、8月の悔しいランキング1位だ。ちなみに、先月の一位は、「すこし太った」とこぼす嫁に、「地球にしめるお前の割合が増えて良かったな」を英語で言えなかったこと。

 

いつも優しさをありがとうございます。

 

第11話 嫁と息子のコンビプレー

最近、ウコンのチカラやヘパリーゼ的な二日酔いにいいとされる物を飲んでから飲みに行く事があるのだが、これは僕の中でアクセルを踏み込むための儀式になってきており、深くお酒を飲んでしまうため、逆に死にそうな朝を迎える事に42回目で気づけた事が、今年一番の発見である。

 

さて、少し前に息子も帰ってきてまた家族三人の暮らしがはじまった。1歳半の息子はまだ喋る事はかなわないが、お母さんの言っている事がわかるようで、言われた事をジェスチャーで示してくれる。例えば「車」というと、ハンドルを握っているそぶりをしたりするのだが、全て嫁から中国語で仕込まれたみたいで、俺の言葉には全ての感情を捨て去ったような綺麗な目をひん剥いて立ちつくしている。それが嫁には嬉しかったようで、色々と俺にはできないコンビプレーを披露してくれた。その内容が、「バイク、麻雀、タバコ、トランプ」であった。まだ2歳にもならない子供に仕込む内容ではない。嫁はどこに向かって子育てをしているのか心配だ。

 

最近、この町のニートマンからよくお誘いを受けてとっても嬉しいのだが、何度もお断りするのが申し訳無く、「行けたら行きます」とお断りしているのだが、「OK、待ってる」と返ってくるのが、この街でニートをするコツだと思う。

 

いつでも仁王立ちの内弁慶