お鈴のとりあえず毎日

マレーシア人の嫁とホーチミンで暮らすお話。

第22話 ホワイト企業になりたくて

ホーチミンでもつ鍋屋をやって5年目に突入した。せっかくの海外だからという事で、毎朝 朝礼で「えいえいおーっ」と日本風にみんなでやっている。流石に毎日やっていると息もあってくる。4年前になぜ「えいえいおーっ」なのか、それはどんな意味なのかについて説明して以来、どのスタッフからも、この意味について聞かれたことはない。古いスタッフから新しいスタッフに受け継がれていると信じてはいるが、なんとなく雰囲気で言っている可能性は拭いきれない。店舗の文化はいい事も、悪い事も次々に伝わる。いい文化が伝わるのはとってもありがとうなのだが、悪い文化は時折ぶっ壊さないといけない。店舗の恥部を晒すようで恐縮ではあるが、うちのことでいうと、壁に寄りかかるという悪しき文化が存在する。それはお客さんがいても、である。今日はそんな文化を改善すべく、スタッフと話しあったドキュメンタリーをお届けする。
今日の話しあいでまず僕は、壁に寄りかかるのはダメな事を知っているかたずねた。ここで知らなかったとなれば、話は簡単で、ダメな事を説明すればいい。ただ、雇用契約書にルールなどが書かれていて、この件も もちろん盛り込まれている。そこにサインをもらっているので、みんなルール違反な事は理解していた。
次になぜそれをやるのかと聞くと、疲れたからと返ってきた。僕はスタッフのそんな事も分かったあげれなかったと猛烈に反省した。いままでは、寄りかかっているスタッフに「ダメだよ」と伝え、理由を聞いていなかった。原因も分からず闇雲に攻めても改善は生まれない。今日はその理由が分かったので、こう改善した。
今までは、30分休憩だったのを、1時間増やし休憩を1.5時間にした。もともと17時のオープンから18時まではそんなに忙しくないので、そこで休憩を1回まわそうというものだ。その後20:30には落ち着くのでそこでもう一度。時給で働いているスタッフが多いので、若干給料は減るが、疲れているのに働き続けるよりはいい。6時間分の時給が5時間分になるけど、疲れてしまうよりいい。スタッフからの悩みは柔軟に対応していきたいと思っている。
これでさらにスタッフとの関係は強固なものになった。しかしなぜかミーティング後すぐに2名のスタッフが辞めていった。きっと俺の優しさに甘えたくなかったのだと思う。残ったスタッフは恥ずかしいのか、俺から一番遠いサイドで集まり、こちらをチラチラ見ている。異国の地というのもあって、ついついスタッフには優しくなり過ぎてしまう自分がいる。

 


想いは常に手法の上流にあり。